安楽椅子のモノローグ

完全なる頭でっかちを目指す

カズオ・イシグロ―あるいは長崎の多様性

 もう住んでいないが、僕は長崎生まれ長崎育ちである。誰しもそうかもしれないが、僕は子どもの頃、自分の生まれ育った街のことがあまり好きではなかった。坂道だらけで、ところどころに馬の糞が落ちている街は、子どもの僕にはひどく野暮ったく感じられた。異国情緒溢れるなどと言われていたが、どこに異国の空気が存在しているのかもよくわからなかった。どこまでも日本であり、日本以外の何ものでもない、と僕は思っていた。

 

 けれど、大人になって、外側から見てみると実はそうではないという気がしてきた。長崎にはやはり異国のロマンが溢れ、豊饒な物語が育まれる土地なのではないか。これはある意味、僕が外国人になったからなのだと思う。その感情はたとえば、イギリス人が日本に対して抱くような感情と同じようなものかもしれない。憧憬のようなものだろうか。

 

 長崎について語るのには困難が伴う。やはりまだ僕の中には、アンビバレントな気持ちがあるからだ。しかし、僕には長崎について、ひとつだけ決めていることがある。それは長崎に縁のある人物は必ず応援しようということだ。今日は長崎人語りをしよう。

  

聖域 (初回限定盤 25周年ライブDVD付)

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 福山雅治といえば、知らない人はいまい。長崎の象徴的人物といってよい。なんだろうあのセクシーさ。男でも惚れるなあ。歌から芝居までなんでもこなす。カメラの腕も一流というから、天というのは二物を与える好例である。

 

 

愛してたって、秘密はある。 Blu-ray BOX

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  川口春奈は、つい最近いろんな意味で有名になったドラマ『愛してたって、秘密はある』で主人公の恋人を演じた。健気でしたよね。川口春奈は体中から快活さが溢れている。クノールカップスープのCMもよかった。

 

 

MARQUEE Vol.116 特集:欅坂46 平手友梨奈+長濱ねる 乃木坂46 松村沙友理

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  長濱ねるは、今や長崎の顔だろう。長崎の若い女性はみんな彼女のような生き方に憧れるだろう(ちょっと言い過ぎました)。先日、漢字欅専任が決まりましたね。もしかすると欅坂46は知らない人もいるかもしれない。これについては別の機会に熱い思いを語る予定である。デビューできてよかったね。お父さん、お母さんの決断は本当にドラマチックだった。

 

 

ギターマガジン 2016年 02 月号 [雑誌]

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 川谷絵音。もう叩かないであげて。僕はその人の人間性と音楽は切り離して考えるべきだという考えの持ち主なので、ゲスの音楽はずっと聴いていたし、これからも聴きつづける。これほどエモい音楽に出会える体験というのはそうそうない。ちなみに、川谷絵音は僕と同じ高校です。

 

 こうしてみると長崎ってすごいな、と思う。才能のるつぼと言ってもよい気すらしてくる。でも、これで終わらない。長崎はまだ終わらない。長崎にはカズオ・イシグロがいる。この人を忘れてはならない。

 

 

The Remains of the Day

The Remains of the Day

 

 僕が厨二病に罹患し、その病勢が極期だったころ、僕はやたらと英語の本ばかり読んでいた。そのときちょうどカズオ・イシグロが『日の名残り(原題:The Remains of the Day)がブッカー賞を獲って話題になっていた頃であり、僕はその本を英語で読むことに病的に固執していた。原著で読んでこそ本読みの真価が問われるんだと、僕は周囲に吹聴して憚らなかった。僕の周囲から人が消えていったことは言うまでもない。そのとき、僕は「Never let me go」と叫び、人はさらに離れていった。おかげで身軽になれましたけどね!

 

 冗談はさておき、ノーベル賞受賞おめでとうございます。長崎が誇るカズオ・イシグロだ。きっと誰も長崎人だとは思っていまい。実際英国人としての受賞である。本人もほとんど日本語は話せない。しかし、そんなことはどうでもよい。長崎にちょっとでも住んでいたら長崎人なのです。ノーベル文学賞は長崎が獲ったといってもよい。彼のアイデンティティの根っこは絶対に長崎にある。

 

 ところで、厨二病に罹患していた僕の英語力はさっぱりだったため、僕はカズオ・イシグロの作品をちっとも理解できていないままなのである。だから、今日は作品について語ることはできない。これからちゃんと訳本を読んで、レビューします。今日から相当店頭に作品ならぶだろうし、買いためていこう。